とこしえの夜

犬口マズルと申します ずっと夜が続きます

習作短歌「泣けてくるだろ」

月曜が顔面を覗き込んでくる心もとない瞼の薄さ

 

おはようは巨大な蜘蛛の形容で電車にギッとしがみついてる

 

ずば抜けた清涼感の欲しさゆえ透明少女を駅に放った

 

トラブルは望まないのにやって来て小指の血潮に運命を見る

 

ため息をパワーコードで掻き鳴らすやっていくしかない日々のため

 

じゃーん今日はお昼に台湾カステラをつけてみましたと昨日の僕

 

勉強になりましたねって言い合ってマニュアルにないことで街が建つ

 

定時だよ!全員残業!ゲラゲラと笑っても闇ひたすらな闇

 

定時では帰れなかった天使らが街の灯りを順番に討つ

 

逃したしドトールに行き待つ電車免許も車もあるのに僕は

 

おかえりを言いに来る犬ただいまを言ってる間にどっか行くなよ

 

健康に留意している夕食を摂る怖いほど無垢な笑顔で

 

犬は海帰ってきたい場所として神秘なるものとして佇む

 

----

泣けてくる月曜日。

犬の近況です。もうひとりの犬は寝ています。

 

掲載8・Meets Regional 6月号/余談

雑誌・Meets Regional 6月号 

岡野大嗣と詠むレッツ短歌!に掲載いただきました。評もいただきました。

 

テーマ「嘘」

臓物を見ても逃げないつもりかよ包み隠さず話してなんて

 

【評】

嘘のモザイクで隠した閲覧注意のグロテスクな本音。見たいものだけ見ていたいくせに。

 

ありがとうございました。とても嬉しいです。読んで分かる通り僕は鬱屈とした人間です。

 

Meets Regionalは関西の街・飲食店を中心に様々なカルチャーを特集する月刊誌です。今月は京都昼飲み特集。飲食店の記事以外にも芸人さんのインタビューやサウナ、本の紹介など雑誌を通して様々なカルチャーに触れることができます。

 

 

 

-------

【余談】

朝日さんというバンドマンがいます。彼は別名義・石風呂(ボカロP)、本名・朝日廉(バンド・コンテンポラリーな生活)での活動を経て現在は朝日名義でネクライトーキーに在籍しています。ネクライトーキーはもっささんのボーカルもありポップさが強調されていますが、石風呂名義・コンテンポラリーな生活で発表された曲は人生の上手くいかなさに着目した歌詞とどん詰まり感を吹き飛ばしてくれる軽快なメロディが中心となっていました。

 

僕の鬱屈とした精神の根底には朝日さんが作った曲があります。僕は暗いけど、暗いままで目の前の現実を殴り飛ばしたいと思っていてそれを形作ってくれたのは彼の音楽でした。

高校3年生の終わり。様々なことが上手くいかないようになり、とにかく毎日が嫌だった時期。なんとなく開いたニコニコ動画のランキングで見つけた不思議な女の子のサムネイルをクリックするとイラストから想像していなかったサウンドが部屋に響きました。軽快なメロディ、それに乗せて聞こえるミクやIAの機械的な声、歪んだギターソロ、教室や人間関係の中でのつらさを表現したまっすぐな歌詞。「少年は教室がきらいだったのだ」「きらいな人」など…そのあまりにもダイレクトなタイトルは、斜に構えてこじらせていた僕の胸をぶち抜いていきました。石風呂さんの曲は僕の苦しみを友達みたいに分かってくれるのに決して暗くはならない不思議な音楽でした。目の前に存在する最悪な現実が吹き飛んでいくような爽快感が大好きで、ただただ縋るように聴いていたことを覚えています。

 

上手くいかない時期は大学まで続きました。昔のクラスメイトに会いたくないとか、人が怖いとか、アルバイトつらーとか、めちゃくちゃぶつかられた…東京こわーとか、誰か助けてくれとか、浮かれた大学生は死ね(そういうタイトルの曲がある)とか、死んじゃいたいなとか、何もかも嫌になって考えすぎて動けない時も石風呂さんの曲があれば大丈夫でした。ちくしょう、ふざけんなっていう負のエネルギーを使えば這うようにでも生きることが出来ることを知りました。当時はあまり元気がなかったのでコンポラのライブには行けなかったですが、行っておけばよかったです。

 

あれから10年ほど経ちます。相変わらず暗くてどうしようもない僕ですがそれをどうしようもねぇなぁーと笑えるようになったことに、石風呂さん(朝日さん)の作る音楽があったからだと思います。今でもよく聴きますが、10代のつらかった日々とはまた違って聞こえて感慨深いです。あの頃よりもずっと楽になったしそんなにやいのやいの言わなくなったけど。でもやっぱり僕は暗いままで、鬱屈としたままで、現実を殴ろうと思います。以上、余談でした。長い余談だったなー。

 

 

SpotifyYouTubeで聴ける曲をいくつか紹介します。

 

嫌々々々/コンテンポラリーな生活

上記の短歌を作った時に聴いていた曲。

 

ゆるふわ樹海ガール/石風呂

公開当時様々な歌い手がカバーしていた記憶がある。ネクライトーキーでもカバーしている。

 

 

ティーンエイジ・ネクラポップ/石風呂

 

 

壊れぬハートが欲しいのだ/石風呂

 

センチメンタル・ジャンキー/コンテンポラリーな生活

ギターソロ前の「ギター俺っ‼︎」がかなりかわいい。

 

◇カバー◇

きらいな人/ネクライトーキー

ネクライトーキーがカバーしているバージョンです。生身の人間が歌うことによりオリジナルよりも現実味が出て切ない印象になりました。

 

 

それでは。

おやすみなさい。

 

 

ネットプリント とこしえナイト・4月分

ネットプリント「とこしえナイト6」を発行しました。

今日まで4月だと思っていたのにもう5月でした。

 

◇内容◇

・自選 8首 

・犬の短歌 5首

・夜の短歌 5首

・ファンアート・ベイビーわるきゅーれ 4首

 

◇プリントについて◇

セブンイレブンのマルチコピーより印刷できます。

ネットプリントを選択→予約番号を入力→指示に従ってプリント

プリント予約番号:NFXJ2ADJ

価格:20円

期限:1週間(2022/5/8まで)

 

とこしえナイトは月に1度発行できるように頑張りながら1年間続ける予定のネットプリントです。同じテーマで作り続けると作歌がどう変化していくかを観察する実験でもあります。永遠に夜を終わらせないぞという気持ちでやって参ります。

 

-----------------------------------------------------

春が終わっていきます。はや、こわ。こうやって一年が過ぎていくのかよ。

今回は映画「ベイビーわるきゅーれ」のファンアート短歌を載せてみました。

ベイビーわるきゅーれすごく面白かったです。劇場まで見に行ったんですが、冒頭の大胆なアクションから心を掴まれて、何気ない日常と本格的な戦闘シーンの構成に気が付けば画面にくぎ付けになっていました。何よりちさととまひろというキュートでキャッチーなキャラクターが最高でしたね。エンドロールが終わっても楽しい気持ちが続いていました。同監督の最強殺し屋伝説国岡とも繋がりがありそうなセリフがあったり、スターシステムを用いているのか?とも取れる内容にもなっていて様々な角度から楽しめる作品でした。姉も行ったそうですがある用務員の方にハマってました。

 

円盤発売するそうです。予約しました。

rightscube.co.jp

 

それでは。

おやすみなさい。

 

 

日記


夜中の僕は随分気が滅入っていたようですね。今はとても元気なので、気が滅入っている男という映画を見ているようで不思議な気持ちになります。生きていると良いこともありますから良いことも書こうかな。

・犬が美容院に行ってグレムリンのような耳になり帰宅 大変かわいい 

・映画館に行き見たい映画を見る、読みたかった本を読む 元気になりDVDまで購入

・資格を取る 特に意味のない資格だが嬉しい気持ちになる

空気階段の単独ライブに行く 当たったのでいきました ラッキー

・友達が幸せになる 友達が幸せになると僕も幸せになる


5つも良い事がありました。

夜中は別として、普段、僕は元気で快活であるように努めます。元気な時に遊びに来てくださいね。お茶を出しますから。お菓子もありますから。夜中はよくありませんから。


さようなら。

おやすみなさい。


満月の色を翼に落とし込みひとりで空を染めてゆく夜/短歌


いつか箱庭が壊れるとしてもこの茶番を続けてくれる人だけを探しています。

習作「休日の過ごし方」

アラームを叩き壊して悲しげな時計の鼓動止まる、すまない


起き抜けに飲む錠剤で手に入れる少しばかりの健やかな生


思い切り健康食を押し退けて痛み伴う食事は楽し


チャパグリは愉快に辛い卵黄は涙のように落下してゆく


アイロンを熱する時の陰鬱さしまい忘れた翼の手入れ


配信で見れる映画の便利さとわたしの中で欠けてゆく月


劇中のなるべく死ぬなという台詞沁みるねこんなにフィクションなのに


ガラス戸を防御壁とし仔犬の手取って討つ雨降り止まずとも


夕飯について悩んだ悩むほど食べたいものもないはずなのに


夕闇にふあゆと問えばゆあせるふ顔なき獣とできるしりとり


文字を追う瞬間離散する文字を追う難しさ脳という街


さようなら今日が眠りにつく夜に昨日と明日の縫い目が閉じる





----

連作「休日の過ごし方」でした。

楽しく作りました。


おやすみなさい。

お願い

ブログを読みに来てくださってありがとうございます。お願いがあります。


僕自身はもう犬口名義でのツイッターをやっていませんが、ツイッターであったことや見た情報等を僕に共有してくれる方がいらっしゃいます。本当に申し訳ありませんが、今後はお控えいただきますと嬉しいです。

内容に関わらず、自分で決めたタイミングでそれらの情報を取得しないとパニックになってしまうことがあるためです。


また、どこかに情報提供する際には一声かけていただけたら幸いです。


よろしくお願いします。


それでは。



掲載7

読売歌壇に掲載していただきました。

評もいただきました。

 

そこここに春の気配が近づいて木琴ちゃかぽこ我が胸で鳴る/犬口マズル

2022.04.04   読売歌壇 3席 俵万智

【評】

八木重吉の秋の「素朴な琴」を彷彿とさせる春の木琴である。

ウキウキした気分を伝えるオノマトペが楽しい。

 

八木重吉の名前を出して評を書いていただけたことは身に余る光栄です。

「この明るさのなかへ」から始まる詩『素朴な琴』は青空文庫でも読むことができます。

これからも頑張ります。もっと勉強をしようと思います。

www.aozora.gr.jp