とこしえの夜

犬口マズルと申します ずっと夜が続きます

日記

泥の中にいる気分。仕事をし、毎日Netflixのドラマを見て過ごす。たまに犬と監視台に座り何もない場所を見つめ続ける。

 

病院に行く。早く平均的な人間になりたいですと伝えると、それが必ずしも良いことではないと言われた。突出した能力を伸ばすことも大切と。そんな能力はないし、他者と揃って歩めるようにならないといけない。僕は今後変われるんでしょうかと問いかけるともうお時間ですと悲しそうな顔をされた。そうですか。残念ですね。

 

仕事をする。猫背がひどくなる。感情的にならないための訓練をする。猫背がひどくなる。鏡の前で快活な笑顔を練習する。猫背がひどくなる。いよいよ丸くなってあとは眠るだけ。

明日こそはより良い人間になれますようにと神様に祈り、朝になればまた泥のような日々が始まる。

 

日記

梅雨の時期になりました。気分が落ち込みやすいので、より静かに過ごしています。仕事が忙しくなる気配がしてきました。忙しいと余計なことを悩まなくて済みますから、僕にとっては忙しい方が良いのだと思います。

忙しい時は昔絵本で読んだ虎のようにぐるぐる回ってバターになるような感覚になります。それはそれで楽しくもあります。

 

最近は短歌について考える時間が増えました。以前はせっせと投稿して掲載の有無に一喜一憂する日々でしたが、最近は投稿数を減らしています。丁寧に歌を作る。歌集だけでなく、多くの分野について学ぶ。投稿や賞の成果により感情を揺さぶられたり、投げやりにならない。今は短歌だけに人生の全てを賭けない(今後賭けるタイミングはあるかもしれない)そういったことを考えます。

ずっと焦っていたけど、あまり焦らなくなりました。今は長距離走のように出来るだけ長く走り続けられる体と心を持ちたいと思っています。続けていれば、思いもよらない場所に行けるかもしれないからです。行けないかもしれないけど。その時は見晴らしの良い丘でおにぎりでも食べたらいいですね。今この文章を書きながら想像の中でおにぎりを食べてみました。おいしい!

 

歩いても走ってもいい逸れたっていいただ道があることのうれしさ /短歌

 

 

それでは。

おやすみなさい。

 

 

 

掲載10 Meets Regional 7月号

雑誌・Meets Regional 7月号 

岡野大嗣と詠むレッツ短歌!に掲載いただきました。評もいただきました。

 

テーマ「耳」

耳たぶの硬さに捏ねるパンの生地誰の耳たぶなのか知らずに

 

【評】

確かに「誰の」なんだろう。あっさり提示される不確かさに、日常が小さく歪み始める。

 

ありがとうございました。とても嬉しいです。

パンおいしい。

 

Meets Regionalは関西の街・飲食店を中心に様々なカルチャーを特集する月刊誌です。今月はストリートフード特集。飲食店の記事以外にもインタビューやサウナ、本の紹介など雑誌を通して様々なカルチャーに触れることができます。

 

 

 

 

掲載9・読売歌壇

読売歌壇に掲載いただきました。

 

 

花火師のごと春土は咲き誇る花を見上げて眠りにつかむ

 

2022.05.23  読売歌壇 俵万智

 

 

記録だと「春土は花火師のごと咲き誇る花を見上げて眠りにつかむ」になっているので俵さんが添削してくれたかもしれません。噂には聞いていましたが本当に添削されることがあるんですね。初添削かもしれない‼︎嬉しすぎ‼︎好きな人が自分の作品に手を入れてくれる機会なんて、人生でそんなにない気がします。言葉の順番を入れ替えるだけで意味の輪郭がはっきりしてきますし、花火師のごと と印象的な名詞を頭に持ってくることでインパクトが出ますね。勉強になりました。嬉しいのでこれからも頑張ります。

 

それでは、おやすみなさい。

 

習作短歌「泣けてくるだろ」

月曜が顔面を覗き込んでくる心もとない瞼の薄さ

 

おはようは巨大な蜘蛛の形容で電車にギッとしがみついてる

 

ずば抜けた清涼感の欲しさゆえ透明少女を駅に放った

 

トラブルは望まないのにやって来て小指の血潮に運命を見る

 

ため息をパワーコードで掻き鳴らすやっていくしかない日々のため

 

じゃーん今日はお昼に台湾カステラをつけてみましたと昨日の僕

 

勉強になりましたねって言い合ってマニュアルにないことで街が建つ

 

定時だよ!全員残業!ゲラゲラと笑っても闇ひたすらな闇

 

定時では帰れなかった天使らが街の灯りを順番に討つ

 

逃したしドトールに行き待つ電車免許も車もあるのに僕は

 

おかえりを言いに来る犬ただいまを言ってる間にどっか行くなよ

 

健康に留意している夕食を摂る怖いほど無垢な笑顔で

 

犬は海帰ってきたい場所として神秘なるものとして佇む

 

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泣けてくる月曜日。

犬の近況です。もうひとりの犬は寝ています。

 

掲載8・Meets Regional 6月号/余談

雑誌・Meets Regional 6月号 

岡野大嗣と詠むレッツ短歌!に掲載いただきました。評もいただきました。

 

テーマ「嘘」

臓物を見ても逃げないつもりかよ包み隠さず話してなんて

 

【評】

嘘のモザイクで隠した閲覧注意のグロテスクな本音。見たいものだけ見ていたいくせに。

 

ありがとうございました。とても嬉しいです。読んで分かる通り僕は鬱屈とした人間です。

 

Meets Regionalは関西の街・飲食店を中心に様々なカルチャーを特集する月刊誌です。今月は京都昼飲み特集。飲食店の記事以外にも芸人さんのインタビューやサウナ、本の紹介など雑誌を通して様々なカルチャーに触れることができます。

 

 

 

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【余談】

朝日さんというバンドマンがいます。彼は別名義・石風呂(ボカロP)、本名・朝日廉(バンド・コンテンポラリーな生活)での活動を経て現在は朝日名義でネクライトーキーに在籍しています。ネクライトーキーはもっささんのボーカルもありポップさが強調されていますが、石風呂名義・コンテンポラリーな生活で発表された曲は人生の上手くいかなさに着目した歌詞とどん詰まり感を吹き飛ばしてくれる軽快なメロディが中心となっていました。

 

僕の鬱屈とした精神の根底には朝日さんが作った曲があります。僕は暗いけど、暗いままで目の前の現実を殴り飛ばしたいと思っていてそれを形作ってくれたのは彼の音楽でした。

高校3年生の終わり。様々なことが上手くいかないようになり、とにかく毎日が嫌だった時期。なんとなく開いたニコニコ動画のランキングで見つけた不思議な女の子のサムネイルをクリックするとイラストから想像していなかったサウンドが部屋に響きました。軽快なメロディ、それに乗せて聞こえるミクやIAの機械的な声、歪んだギターソロ、教室や人間関係の中でのつらさを表現したまっすぐな歌詞。「少年は教室がきらいだったのだ」「きらいな人」など…そのあまりにもダイレクトなタイトルは、斜に構えてこじらせていた僕の胸をぶち抜いていきました。石風呂さんの曲は僕の苦しみを友達みたいに分かってくれるのに決して暗くはならない不思議な音楽でした。目の前に存在する最悪な現実が吹き飛んでいくような爽快感が大好きで、ただただ縋るように聴いていたことを覚えています。

 

上手くいかない時期は大学まで続きました。昔のクラスメイトに会いたくないとか、人が怖いとか、アルバイトつらーとか、めちゃくちゃぶつかられた…東京こわーとか、誰か助けてくれとか、浮かれた大学生は死ね(そういうタイトルの曲がある)とか、死んじゃいたいなとか、何もかも嫌になって考えすぎて動けない時も石風呂さんの曲があれば大丈夫でした。ちくしょう、ふざけんなっていう負のエネルギーを使えば這うようにでも生きることが出来ることを知りました。当時はあまり元気がなかったのでコンポラのライブには行けなかったですが、行っておけばよかったです。

 

あれから10年ほど経ちます。相変わらず暗くてどうしようもない僕ですがそれをどうしようもねぇなぁーと笑えるようになったことに、石風呂さん(朝日さん)の作る音楽があったからだと思います。今でもよく聴きますが、10代のつらかった日々とはまた違って聞こえて感慨深いです。あの頃よりもずっと楽になったしそんなにやいのやいの言わなくなったけど。でもやっぱり僕は暗いままで、鬱屈としたままで、現実を殴ろうと思います。以上、余談でした。長い余談だったなー。

 

 

SpotifyYouTubeで聴ける曲をいくつか紹介します。

 

嫌々々々/コンテンポラリーな生活

上記の短歌を作った時に聴いていた曲。

 

ゆるふわ樹海ガール/石風呂

公開当時様々な歌い手がカバーしていた記憶がある。ネクライトーキーでもカバーしている。

 

 

ティーンエイジ・ネクラポップ/石風呂

 

 

壊れぬハートが欲しいのだ/石風呂

 

センチメンタル・ジャンキー/コンテンポラリーな生活

ギターソロ前の「ギター俺っ‼︎」がかなりかわいい。

 

◇カバー◇

きらいな人/ネクライトーキー

ネクライトーキーがカバーしているバージョンです。生身の人間が歌うことによりオリジナルよりも現実味が出て切ない印象になりました。

 

 

それでは。

おやすみなさい。

 

 

ネットプリント とこしえナイト・4月分

ネットプリント「とこしえナイト6」を発行しました。

今日まで4月だと思っていたのにもう5月でした。

 

◇内容◇

・自選 8首 

・犬の短歌 5首

・夜の短歌 5首

・ファンアート・ベイビーわるきゅーれ 4首

 

◇プリントについて◇

セブンイレブンのマルチコピーより印刷できます。

ネットプリントを選択→予約番号を入力→指示に従ってプリント

プリント予約番号:NFXJ2ADJ

価格:20円

期限:1週間(2022/5/8まで)

 

とこしえナイトは月に1度発行できるように頑張りながら1年間続ける予定のネットプリントです。同じテーマで作り続けると作歌がどう変化していくかを観察する実験でもあります。永遠に夜を終わらせないぞという気持ちでやって参ります。

 

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春が終わっていきます。はや、こわ。こうやって一年が過ぎていくのかよ。

今回は映画「ベイビーわるきゅーれ」のファンアート短歌を載せてみました。

ベイビーわるきゅーれすごく面白かったです。劇場まで見に行ったんですが、冒頭の大胆なアクションから心を掴まれて、何気ない日常と本格的な戦闘シーンの構成に気が付けば画面にくぎ付けになっていました。何よりちさととまひろというキュートでキャッチーなキャラクターが最高でしたね。エンドロールが終わっても楽しい気持ちが続いていました。同監督の最強殺し屋伝説国岡とも繋がりがありそうなセリフがあったり、スターシステムを用いているのか?とも取れる内容にもなっていて様々な角度から楽しめる作品でした。姉も行ったそうですがある用務員の方にハマってました。

 

円盤発売するそうです。予約しました。

rightscube.co.jp

 

それでは。

おやすみなさい。